インバウンド需要が旺盛ですが、まだまだ大都市圏と有名観光地に集中しています。
但し、日本は数回目というリピーターの外国人も6割となり、徐々に有名観光地以外のところへの観光も増えてきて分散化の兆しが見えてきました。
地方では地域まちおこしの一環として、ここでインバウンドの需要を取り込みたいところです。多言語対応やWI-FI設置など様々な工夫はされていると思われます。ハード面はわかりやすので比較的取り組みも早くできるのですが、本当はソフト面の方が重要になってきます。
地域によっては、観光客呼び込みの為、映えるモニュメントや巨大ブランコなどの遊具を設置するところもありますが、目新しい時期だけ多くの観光客が大量に押し寄せてきて、駐車場などの交通網の整備が追い付かず、販売する物も乏しく結局「観光公害」というものだけを残し、交通網の整備や物販や飲食店が揃う頃にはお客様は飽きられて違う観光地へ行かれています。
残るのは負の遺産となってしまいます。
インバウンドだけに頼るのではなく、映えに頼るのでもない、持続可能な観光資源とはいったい何なのでしょうか。
近頃よく耳にする言葉で、「モノ消費からコト消費へ」というのがあります。
観光で考えれば、「有名社寺や観光地へ行き見て回り、お土産を買って帰る」という昔ながらの観光から、「様々な体験をして思いで作りをしたり、知的探求心を満たす体験をする」ことへ消費がシフトしてきています。
わかりやすい例でいえば「出来上がった陶器を買うのではなく、陶器作りを楽しみ出来上がるまでのワクワクを楽しみ出来上がった陶器を楽しむ」といった感じです。
体験物は各観光地で様々な形で繰り広げられています。
- 歴史的建造物のガイドツアー - 古城、寺院、歴史的建築物を専門ガイドと一緒に探索。
- 地元の料理教室 - 地元のシェフによる料理教室で伝統料理を学ぶ。
- アートワークショップ - 地元のアーティストと共に絵画や工芸品を作成。
- ワイナリー/酒蔵訪問 - ワインや日本酒の製造過程を学び、試飲する。
- 自然探索活動 - ハイキング、バードウォッチング、カヤックなど自然の中でのアクティビティ。
- 野生動物の観察 - サファリパーク訪問や野生動物の観察ツアー。
- 農業体験 - 地元の農場での果物摘み、野菜収穫。
- 漁業体験 - 漁船に乗り、地元の漁師と共に漁を体験。
- スポーツ体験 - サーフィン、スキー、スノーボードなど季節に応じたスポーツ。
- 伝統文化体験 - 茶道、芸能、着物試着など日本の伝統文化を体験。
- 夜景ツアー - 都市や観光地の夜景を楽しむクルーズや展望台訪問。
- 市場ツアー - 地元の市場を訪れ、地元の食材や製品を見学。
どこでもできるものではなく、そこに行かないとできないことを考える必要があります。
「こんなの喜ぶ人がいるの?」と思うようなことでも、見せ方やホームページの掲載方法に工夫をすることで、一定の需要がある場合があります。
ここで皆さんが思われるが、
「上手く説明できないし・・・」
「外国人が来たら英語できないし・・・」
ということだと思います。
最初から100%を自分(地域)に課すのはやめましょう。
お客様はそんなことは求めておられません。
それよりも、お客様は地元の方との交流を楽しみにされている場合が多いです。
たとえつたない話し方でも、一生懸命に伝えようとする姿に心打たれる場面は多くあります。
お客様の感想も、体験自体が良かったというものありますが、「○○さんの案内が良かった」「○○おばあちゃんの話を聞いて元気をもらった」など人に関することも多いのです。
最初から英語が流ちょうに話せなくても、身振り手振りを交えながら、重要なところは印刷したものを渡しながらなど工夫をすることで、お客様と共に楽しみながら取り組んでいくことで、お客様の思い出にもなります。
観光客に喜んでもらう地域になるには、“人”(地元住民)が観光客に対しどれだけフレンドリーに接せれるかが大きなカギになると考えています。