近年、インターネットの発達により、あらゆる情報が瞬時に手に入る時代となりました。
スマホやパソコンがあれば、世界中の情報にアクセスし、知的好奇心を満たすことができます。
しかし、その一方で、実際に体験することでしか得られない「経験」の価値がますます高まっていると感じています。
情報過多の時代における「経験」の価値
今や子供から老人までスマホを持ち、常にインターネットにつながっている状態です。
あらゆる情報が瞬時に手に入る一方で、情報過多による情報疲れや、情報の真偽を見極める難しさといった問題も指摘されています。
24時間以内に発明されたり作られたりした情報量は、一人の人間がチェックするとなると1年以上かかるほど膨大です。AI技術の発展によって、その量はさらに増え続けていくでしょう。
さらに、大勢の人がスマホやカメラで撮影した写真や動画がネット上に日々溢れています。
その多くは日常とはかけ離れた極端な瞬間や世界であり、私たちは日常的にそれらを見聞きすることになります。
平凡な日常に並外れたものが大量に流れてくる環境に慣れ、非日常的な経験を当たり前と感じてしまうことも少なくありません。
しかし、これらの情報はあくまで「疑似体験」であり、実際に自分で体験してみるまで、その真の価値を知ることはできません。
「情報」と「経験」は全く異なるものであり、情報過多の時代だからこそ、「経験」の価値がますます高まっていると言えるでしょう。
あらゆる情報は手に入るが、「それ、本当はどうなの?」となると経験してみるしかない。
観光での様々な体験、観光に行くという体験そのものだけが人間としてのかけがえのない思い出となります。
地域コンサルティングにおいて観光体験を重視する理由
地域コンサルティングにおいて観光体験を重視する理由は、このような実体験を通じて、観光客自身がその地域の魅力を深く理解し、感情的にも結びつきを持つことができるからです。
たとえば、農業体験や伝統工芸のワークショップ、地元の祭りへの参加は、その地域独自の生活や文化を肌で感じることができ、訪問者にとって忘れがたい記憶となり得ます。
このような体験は、地域のブランド価値を高め、再訪を促す大きな動機付けとなります。
実際に、多くの地域で成功している観光戦略は、単に景色の美しさや施設の充実をアピールするだけでなく、訪問者が「参加できる体験」を提供しています。
たとえば、京都では古典的な着物を着ての街歩き、沖縄では伝統的な琉球舞踊の見学や体験が人気です。
さらに、地域コミュニティとの接触を通じて、観光客はその地域の人々との直接的なつながりを感じることができます。
地元の人々との会話から得られる情報やストーリーは、どんなに優れたガイドブックやウェブサイトよりも価値があると言えるでしょう。
これにより、訪問者はその地域に対して個人的な関連性を持ち、より深い感情的な結びつきを感じることができるのです。
結局のところ、地域コンサルティングを行う際に観光体験を重視する最大の理由は、この体験が提供する「実感」と「つながり」にあります。
これらは、デジタルメディアが決して提供できない、人間としての深い満足感をもたらします。観光での体験は、人々にとってかけがえのないものであり、地域おこしにおいてもその重要性はますます高まっているのです。